朝日新聞でこんな記事を見つけました。
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武士の幽霊 事故を呼ぶ?秋田中央道路が開通して15日で1年を迎える。秋田駅の東西をつなぐ交通の激しいトンネルで、交通事故や車の故障などで通行止めになることも多い。ちまたでは「武士の幽霊が出る」などとうわさも流れる。事故多発の背景を探った。(矢島大輔、贄川俊)
昔は墓地 広がるうわさ 「秋田中央道路で、武士の幽霊が出るらしい」
秋田市内のタクシー運転手男性(58)は7月、こんなうわさを耳にした。対向車線に大きくはみ出したトンネル内のブレーキ跡を思い出した。脇見運転が原因の事故が多いとも聞いた。「トンネルで、なぜよそ見をしたんだろう」
中央道路での事故を担当する警察官も「事故だけでなくガス欠などが多いのは本当に不思議。『何かいるのでは』という話はよく聞く」。
実際、中央道路の事故は多い。県によると開通以来、8月までの事故は19件だった。特に下り車線の山王から約500メートルの区間に10件の事故が発生=図参照。ガス欠などの故障も17件あり、山王口と駅東口付近に集中している。
ブレーキ跡が生々しく残る事故多発場所。霊が出やすいとうわさされる丑三(うし・み)つ時(午前2時過ぎ)に走ってみたが、霊は現れなかった=秋田市大町2丁目の秋田中央道路
この区間に何かあるのか。
山王大通り北側にある同市旭北栄町の当福寺。40年前まで、山王口付近はこの寺の墓地だった。木村清志住職(59)によると、当福寺は江戸時代、佐竹氏に請われて土崎から移った。当時の檀家(だん・か)は商人や町人が主だったが、武士の墓もあったという。
68年には、山王大通り拡幅工事で約900基あった墓を寺の西側へ移転させた。移転後の大通りは事故が多く、「霊が出る」などのうわさが出た。「ちゃんと供養もした。反対もなく、移転はすんなり決まった」と木村住職。うわさは間もなく収まった。
山王大通り南側の真敬寺の入り口には「5人男の墓」と呼ばれる墓石が五つ並んでいる。長崎孝住職(69)によると江戸時代に悪事を働く武士を倒し、打ち首になった侠客(きょう・かく)たちの墓という説がある。
事故当事者に聞いてみた。
07年12月、山王口から210メートルの地点で軽自動車と乗用車が衝突した。秋田中央署の調べでは軽自動車の女性(51)は山王口から入り、急な坂の後の左カーブでハンドル操作を誤った。蛇行して対向車線に進入し、正面衝突。全治3カ月の両腕骨折だった。
女性は「事故現場は坂道になっていて速度が出てしまい、曲がりにくかった。もちろん幽霊は見ていません」
多くは速度超過原因事故多発について、県秋田中央道路管理班の竹田恵班長(58)は「運転者のスピードの出しすぎが原因」とみる。
山王口から入り口手前の長い直線と急な下り坂で加速し、直後のS字カーブでハンドル操作を誤る――。その先の直線下り坂で加速した車は、渋滞で減速した車に追突する――。実際、S字カーブでははみ出しや壁への衝突が、直線下り坂では追突事故が、それぞれ多く、トンネルが渋滞する午後6〜7時の帰宅ラッシュに集中した。原因の多くは速度超過だった。
一方、故障については上り坂での信号待ちが原因と考える。少ないガソリンのまま坂道で燃料タンクが傾くと、吸い込み口にガソリンが入らなくなることがあるという。
「渋滞通過後の開放感も影響」交通工学が専門の秋田大学浜岡秀勝准教授(39)は「県内初の都市型トンネルの登場に、慣れていない面も強いのでは」と指摘、「山王口から入った直後に事故が多いのは、下り坂に加え、ひんぱんに渋滞する山王十字路を通過後の解放感で速度を上げてしまうからでは」と指摘した。
トンネルの照明についてはプロビーム方式があるという。進行方向を照らして前方の障害物を鮮明に浮かび上がらせる方式は首都高などで採用され、安全対策として有効だ。「しかし、まずは運転手がトンネルのどこに危険が潜むか構造を理解し、安全運転を心がけるのが一番です」
疑問、超自然的に理解の傾向うわさや都市伝説を研究している関西学院大学島村恭則教授(40)の話 典型的な都市伝説だ。トンネルだけでなく井戸、橋の上などはうわさがつきもの。秋田中央道路にはくっきりとしたブレーキ跡があり、事故も多い。近くには寺町やお堀がある。人びとは、疑問を科学的な根拠より面白く流布しやすい超自然的な枠組みで理解する傾向がある。道路周辺は68年の山王大通り拡幅工事直後にも霊が出るとうわさされていた場所なので、記憶がよみがえった人もいただろう。こうして想像しやすい武士の幽霊が形づくられたのではないか。
※秋田中央道路 JR秋田駅の東西を結ぶ自動車専用トンネルで、秋田市手形の駅東口と同市旭北錦町の山王口までの約2.6キロをつなぐ。市中心部の渋滞緩和を目的に県が総事業費686億円をかけて07年9月に開通させた。1日の交通量は約2万台。
(2008年9月14日 朝日新聞より抜粋)
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事故の原因は、武士の幽霊か?
ミステリアスで興味深いですね。
しかし、そのような興味を削ぐようで申し訳ないのですが…
マッドハカセは事故の多発をある程度予測していました。
「事故が起こるだろう…」と予測した場所は、次の3ヵ所です。
@ 入口のカーブがきつい (衝突Bの位置)
A カーブのマンホール (追突@の位置)
B カーブの後に上り坂 (追突Eの位置)
いずれも山王口側です。
@の山王口側の第一カーブは、制限速度内でも曲がるのがきつい曲線です。初心者や運転の慣れていない人なら、運転ミスをしてしまうのは無理もありません。
Aのカーブのマンホールは大変危険です。避けようにも、マンホールの数が多くて避けきれません。特に雨の日には滑り易く、ハンドルを切った状態で滑ってしまったら最悪の場合、スピン(クルクル回る)してしまいます。
Bは、Aを過ぎてすぐの場所です。ここではほとんどの車が減速しています。トンネル内はスピード感覚がなくなるので、速度が落ちていることに気付いていないのかもしれません。そこへ高速で来た後続車が追突してしまうのでしょうか。また、Aのマンホールが恐くていきなり減速する車もいます。この地点はカーブがそこそこきついため、視界からすぐに車がいなくなります。だから、追突の危険性が高くなるのでしょう。しかも、路面が濡れているカーブで慌ててブレーキを踏んだら、車のバランスを崩し、対向車線にはみ出るという最悪の状態は容易に想像できます。
これらの事故は「武士の幽霊」などが原因ではなく、起こるべくして起きた事故なのです。
これほどまでに事故が多発しても、なんの動き(対策)もないのが不思議です。
とは言え、自ら安全運転を心掛けることが一番大切ですね。
posted by 田舎のマッドサイエンティスト at 23:19| 秋田 ☀|
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