不況の風を真っ向から受けた自動車業界は、試乗会などのイベントを縮小しつつあります。
そんな中、従来型のプロモーションとは一線を画す取り組みで注目を集めるのは、ドイツのブランドアウディです。
「アウディフォーラム東京」で毎月行われるイベントは、単なる「新車発表会」の域を超えて、「アウディユーザー体験」を提供する斬新なマーケテイングの場となっています。
7月にはアウディA5カブリオレを主役に「夏祭り」をテーマとしたイベントを行ったそうです。会場内には、綿あめ屋台や射的のアトラクションが並び、浴衣を着たお客さんたちが縁日さながらに遊ぶ姿が見られる中、オープンカーに同乗し夏祭りの楽しいひと時を体験するのです。

A5
10月には「初雪」をテーマに、SUVのQ7のイベントが開催されたそうです。雪山の中をバックに撮影できるサービスがあり、合成写真の中にQ7ユーザーとなった自分の姿を見ることができるというイベントです。

Q7
アウディの試みは近年注目を集める「経験価値マーケティング」ととらえられます。シュミットが提唱したこの手法は顧客が製品を購入し使用する際の経験価値をデザインしていこうという考え方です。
人は何かモノを買う際、純粋に利益だけを判断基準とするのではなく、情緒的感情的な理由が左右されがちなのです。手に入れたモノを使うときにはその機能を発揮してもらうだけでなく、使っているときの楽しさやそれによって開ける世界があって初めて満足できるのです。だから購買と使用過程での経験に満足してもらうマーケティングが必要であるといいます。
アウディのイベントはまさに、車を手に入れたらどんな楽しいことが待っているのだろうと沸き立つような感情を、リアルな体験を通して抱いてもらうことに成功しているのです。
(2009年12月7日 日経MJより)
アウディのマーケティング手法の良さはこれだけではありません。
アウディが持つ性能・機能、そしてストーリーをうまく消費者に伝えているところも評価できます。
メルセデス・ベンツはステータスを、BMWが自己実現を消費者に伝えていますが、生活に余裕のある人に伝わるメッセージです。この不況の中で節約を心がけている消費者には、これらのメッセージは伝わらないどころか、避けられてしまいます。(だから少し高くてもハイブリットカーなんですね)
むしろアウディのような性能・機能、ストーリーの方が消費意欲の段階が低く、今の消費者には伝わると思われます。それを踏まえて「経験価値マーケテイング」をしていますから、その価値が十分に伝わるのです。
なんとなくですが…
アウディの戦術は、ユニクロに似ている気がします。
posted by 田舎のマッドサイエンティスト at 23:54| 秋田 ☁|
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