先週の中頃から、仕事で秋田を離れていました。
貧乏暇なしとはこのことでしょうか…
仕事の合間を見つけて、東京の日経ホールで行われた『日経産業新聞フォーラム2009』に参加してきました。今回のフォーラムの内容は“地域の活性化と海外ブランド戦略”で、著名な先生方がさまざまな視点からお話されていました。
基調講演の内容を、マッドハカセのメモでご紹介しましょう。
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日本の中堅・中小企業のグローバル経営と海外市場への展開三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 理事長 中谷 巌 氏
(メモ)
地域が持っている良さを認識すること。
世界の人々が、日本を注目している度合いが最も高い時。
mede in JAPAN の評価が最も高く、日本のクール商品がウケている。
パリには、目に付くところに日本商品が置かれている。
JAPANブランドの背景にあるものは?
エッセンスは?
日本は、中間層が圧倒的に力を持っている。
日本は、圧倒的な中流社会、民主主義社会。
庶民が上流にあり、下流にありと様々。
ヨーロッパは民族戦争の歴史。
エリート層はメチャクチャお金持ちである一方で、あとは貧困層。
階層差が大きい。
それに比べ日本は、異民族の差別はなく、制圧がなかった。
また、奴隷階級社会はなかった。
このことが、JAPANブランドを形成するのにとても重要。
支配階級では、下流の人々をどう働かせるかが問題となる。
日本では現場が強い、アメリカ型のトップダウン組織を持ってきても
そこでは通用しない。
日本にも江戸時代に士農工商という階級はあったが、この間に戦争が
なかったので士の力は弱くなっていった。
そして日本は学問をするようになり、寺子屋が全国にできた。
ペリーがやってきたときの日本の武力はとても弱かったが、文化力は
とてもあった。明治維新以降、ヨーロッパのモノが入ってきたが、
基礎がなっていた日本では“あっ”という間に広がっていった。
現場の職人気質などを伸ばしてあげることが重要であった。
アメリカ発のモノは、
コカ・コーラ、ケンタッキー、ナイキ…
どこの国へ行っても、これらのモノは行った国に溶け込んでしまい、
アメリカらしさが感じられない。
アメリカは移民の国。
文明文化を議論しないことがルールで、特定の文化がない。
文化性を感じさせない。
アメリカの成り立ちを出したモノが、アメリカ品。
ヨーロッパの高級品は、王室文化が背景にある。
中国に文化商品がない。だから、モノマネ商品を平気でつくる。
同一国家、同一文明の日本は、社会的に安定していった。
高度な社会的安定性がある。そこには、長期的な人間関係がある。
それには、長期的な信頼関係を持つことが必要。
海外の場合、相手をどう出し抜くか?ということが重要になっている。
海外かぶれの経営者は「戦略が日本にはない」というが、日本は他と
違う相手の期待を裏切らない。
これがJAPANブランドになっている。
日本製品は品質が保証されており、地道な品質の高さがある。
GM破綻の原因に、上下の関係の薄さがある。
上は下の現場を見ていないし、下は欠陥品があっても知らない振りをする。
日本車のバンパーは裏側まで磨かれている。なぜか?と聞くと、
「そういうもんだ」「あたりまえ」
という答えが返ってくる。
これは、日本人の『美意識』として埋め込まれている考え方。
車部品のチェックは、トヨタが6ヶ所、GMが2ヶ所。
こういった積み重ねが、日本の自動車産業をトップに踊り出させた理由の一つ。
JAPANブランドを世界に売って行くならば…
最高級な人に売るモノではない。
安いモノを安く売るモノでもない。
中流に向けて売るモノなのである。
世界が豊かになってくると、中流の人々が増えてくる。
これから広がっていく。
日本に対する評価は、中国でも高い。
緻密で高級、でもそれだけ高くはない。
日本商品を売るときには、特徴を認識することが重要。
その上で、どこに売っていくのか?
それらのことをふまえたマーケティングが必要。
そして売るためには、日本商品の良さを理解してくれるパートナーが必要。
高級品でも下級品でもないことを理解してくれる売り手が必要。
日本人は西洋中心の考え方が、江戸時代から続いている。
だから、今でも「日本人はダメだ」と考えている人がいる。
日本は良い意味でも、悪い意味でも、いい位置にいる。
そして、差異化されている。
『差異化された商品』
差異を売る → 価値となる
世界に展開してゆくポテンシャルがある。
自信を持つこと。
そして、ターゲット、売り手など、どうやってコミュニケーションしてゆくかを
考えていく必要がある。
日本は庶民社会。
日本のエリートが世界に出てゆくと、レベルが低く、評価も低い。
世界のエリートは、幼い頃からすごい教育を受けているのでレベルが違う。
なので、中途半端な上流階級・富裕層向けのモノはすぐに見破られてしまう。
いずれにしろ、うまく行かない。
しかし、庶民から見た日本はとてもレベルが高い。
これから世界中に、中間層が増えてくる。
中間層が圧倒的に多い日本には、チャンスが広がっている。
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秋田でも富裕層向け≠ニ称して、農産物などを少々高い価格で中国や東南アジア方面に輸出していますが、どうでしょうか?
中谷さんのお話からするとこの輸出の目的が、海外市場とズレがあるように思われます。
富裕層ではなく、中流層の上に向けるべきなんですね。