経済ジャーナリストの池原照雄さんが、2009年1月14日付の「日経ビジネス ON LINE」で、次の記事を書かれていました。
若者のクルマ離れ、その本質は「購買力」の欠如内容はこうです。
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「クルマ離れ」については、若者の消費の多様化や、魅力的なクルマの不在といったことが指摘されてきた。だが、昨今の雇用情勢の悪化を見ると、実は「購買力」が大きな問題であることが浮き彫りになる。「クルマなんてとても手が届かない」という若者が増えているのだ。
国税庁と総務省の統計を基に、20〜24歳の給与所得者数と人口の推移を表にまとめた。…その数は1995年にピークとなり、以降2006年まで一貫して減少した。この世代の人口の推移も給与所得者数とほぼ同じ傾向で減少しているので当然といえば当然。ただし、人口に占める給与所得者数の比率は1985年当時から10ポイント以上も落ち込んでいるのだ。
こうした将来の安定が見通せない若年層にクルマへの購入意欲を期待する方が無理だ。「クルマ離れ」には当事者の自発的な意味合いがあるが、そうではなく、無理やり引き離されたというのが実情だろう。
(2009年1月14日 日経ビジネス ON LINE より引用)
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マッドハカセもそう思います。
若者のクルマ離れは「魅力ある商品や使い方を提供しきれていないからだ」などと言われていますが、周囲の声を聞くと違うような気がします。
「お金に余裕がないから買えない」と…
さて、池原照雄さんのこの記事は反響を呼び、読者の方々から100件近いコメントを頂いたそうです。その中には、20〜24歳の年齢層で「1年を通じて勤務した給与所得者数」の比率が年々低下しているということに対し、進学率の上昇を考慮していない、という指摘もあったようです。
指摘されたポイントの要約はこうです。
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(1)魅力のない商品
・販売量の減少を理由に、大手ですら「走り」を追求したモデルから撤退するなどメーカー自身が若年層ユーザーの育成を怠った
・打って出るという市場提案型のクルマが少なくなった
(2)社会や需要の構造的問題
・少子高齢化で市場縮小は必然
・保有台数は減少局面にあり、すでに飽和状態に達したので市場縮小は不自然でない
(3)ライフスタイルや価値観の変化
・クルマより他の消費財やサービスに使いたい
・親世代が子供をドライブに連れて行くなど使い方の魅力を伝えなかった
・異性をデートに誘うためのツールとはなり得なくなった
・お金に余裕があっても高いクルマには乗りたくない(環境性能などで選択)
(4)コストがかかり過ぎ
・税金や駐車場代など維持費が高く、費用対効果からクルマは不要
・大都市圏では公共交通手段で十分
・クルマが必要な地方では多くの若者が軽自動車の中古車を選択する
・初期費用を節約するためクルマはできるだけ長く乗りたい
(2009年1月28日 日経ビジネス ON LINE より引用)
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なるほどですが…
2009年1月号の日経消費ウオッチャーに「平成成人」解剖調査≠ニ題して、今年20歳になる平成元年(1989年)に生まれ成人の実像を様々な面から調査したデータが載っていました。その中の
「持っていないが欲しいもの」を見てみますと、全体の首位は
乗用車が33.5%でトップなのです。
「欲しい」という需要がありながら、クルマは売れない…
そこには、「買えない」という本音が見えていますね。
やはり根っこには「購買力」の欠如≠ェあるようです。
posted by 田舎のマッドサイエンティスト at 23:29| 秋田 ☀|
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